宿泊施設の客室清掃は、場所ごとの掃除項目だけでなく、忘れ物や破損の確認、消耗品の補充、設備の動作確認、責任者への報告までを一つの手順にすると抜けを減らせます。

基本の順番は「異常確認→回収→洗浄→補充→最終点検」です。

施設ごとに客室設備や自治体のルールが異なるため、以下を共通の土台にして、許可区分、保健所の案内、清掃用品の表示、社内ルールに合わせて調整してください。

客室清掃は5つの工程に固定する

客室清掃の異常確認、回収、洗浄、補充、最終点検を順に進める様子

担当者によって作業順が変わると、汚れを落とした後に破損へ気づいたり、補充後の備品を再び動かしたりしやすくなります。

次の5工程を客室ごとの点検表にし、完了者と確認時刻を残します。

  • 異常確認:忘れ物、破損、汚損、異臭、害虫、漏水を清掃前に確認する。
  • 回収:ごみ、使用済みリネン、残置物を施設の区分ルールに沿って分ける。
  • 洗浄:高い場所から低い場所、奥から入口、水回りから居室の順など、施設内で一定の順序を決める。
  • 補充:リネン、アメニティ、紙類、飲料などを客室定数に戻す。
  • 最終点検:設備の動作、におい、室温、施錠、定点写真を確認する。

厚生労働省の2026年1月20日付の衛生等管理要領では、旅館業者が自主管理マニュアルと点検表を作り、責任者を定める考え方が示されています。

住宅宿泊事業でも、観光庁は定期的な清掃、換気などの措置を案内しています。

開業段階の許可・消防・届出の確認は、民泊の開業手続きを6ステップで解説も参考にしてください。

清掃前に忘れ物・破損・臭い・漏水を記録する

忘れ物、ランプの破損、洗面台の漏水を清掃前に写真で記録する担当者

入室したら、換気やごみ回収の前に客室全体を見ます。

清掃を先に始めると、汚損の範囲や発見時の状態が分からなくなるためです。

  • 忘れ物らしい物はごみと決めつけず、触る前の位置と状態を記録する。
  • 破損、焦げ跡、落ちない汚れは、客室番号と場所が分かる写真を残す。
  • 異臭、排水不良、漏水、害虫は、清掃だけで解決したことにせず責任者へ連絡する。
  • 針、刃物、薬品、体液など安全に扱えない物は、素手で触らず施設の手順へ切り替える。

「清掃で直せる汚れ」と「使用停止や修理判断が必要な異常」を別欄にすると、担当者が無理に判断せずに済みます。

宿泊者への連絡、忘れ物の保管、損害の扱いは、現場担当者が単独で決めず、施設の責任者と約款・社内規程に従ってください。

寝具・水回り・床と備品をエリア別に点検する

ベッド、浴室、床、アメニティをエリア別に点検する客室清掃担当者

清掃表は「掃除したか」ではなく、完了状態が分かる言葉にします。

寝具は使用済みリネンを清潔な物と交差させず、シーツ、枕カバー、掛け物、マットレス周辺を確認します。

髪の毛、染み、湿気、破れが残っていないことまで点検します。

浴室・洗面・トイレは、浴槽、壁、鏡、蛇口、便器、便座、床、排水口を分けます。

水滴、髪の毛、石けん残り、臭いを確認し、洗剤や消毒剤は製品表示どおりに使用します。

居室は照明や棚など高い位置のほこりから始め、テーブル、家電、スイッチ、床へ進みます。

リモコン、食器、ハンガー、案内物などは客室定数と置き場所を決め、欠品と故障を分けて記録します。

キッチン付き客室では、冷蔵庫内の残置物、加熱機器、食器の状態も施設固有項目に追加します。

清掃後は動作確認と写真記録で引き渡す

清掃後の客室で空調を動作確認し入口から定点写真を撮る担当者

最後は入口から宿泊者の目線で一周し、清掃中に触れた設備を動作確認します。

照明、空調、テレビ、給排水、温水、換気、窓、カーテン、ドア、鍵を対象にし、異常があれば客室を販売可能に戻す前に責任者へ報告します。

定点写真は、入口からの全景、ベッド、水回り、補充品など撮影位置を固定すると比較しやすくなります。

写真だけを完了証明にせず、点検表の担当者、完了時刻、未解決事項と組み合わせて保存してください。

客室清掃のチェックリストは、一度作って終わりではありません。

見落とし、設備変更、苦情、自治体や保健所からの案内があったときに項目を見直し、誰が担当しても同じ完了状態になるよう更新することが大切です。

参考: 厚生労働省「旅館業における衛生等管理要領の一部改正について」、観光庁 民泊制度ポータル「事業者の業務」